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ストーリーサークルによる物語分析 鋼の錬金術師

アメリカのアニメ、リック・アンド・モーティー (Rick and Morty)の作者である、アメリカ人作家、ダン・ハーモン(Dan Harmon)が提唱している物語構造ツールで、ストーリーサークルというものがあります。

「世の中の面白い物語は、このストーリーサークル的な構造を持っている」という仮説を立てて、物語の構造を分析したいと思います。

ストーリーサークルは元々ジョーゼフ・キャンベルの「英雄の旅」に影響されているので、そちらからこういった概念を知っている人はいるかもしれません。

参考 有名作家が教える、いい物語を書くための3つの方法LifeHacker

ストーリーサークルとはなにか

ストーリーサークルには8つのステップがあります。

秩序とケイオス
1、2そして7、8が日常パート。
3、4、5、6が非日常パート。

1. You

最初にすべき事は、見るに値すべき主人公を作り上げることです。どういった人物が主人公なのかを確立します。主人公は必ずしも1人というわけではなく、家族だったり、チームの場合もあります。

2. Need

主人公が何を目的に動いているのかの動機づけを行います。どんな物語であれ主人公は目的を持たなければ行動を起こす理由がなくなってしまうからです。例えば人間にはお金や仕事、食事、愛などを欲する本能があります。

3. Go

目的は人に行動を起こさせます。空腹であれば食事を手に入れる。愛に飢えていれば恋人を探しに。必要なものを手に入れるために主人公が行動を始めます。行動を積極的に起こすような活発な主人公や、行動を起こさざるを得ないくらいの目的が求められます。

4. Search

主人公が目的を達成するために何かを探索します。探しているのは物理的なものだけではありません。そして乗り越えなければならない障害がここで待ち受けていることになります。

5. Find

主人公は何かを発見します。ここが、主人公が英雄として何かに気づくポイントとなります。しかし良い物語においては、ここでは目的は達成されません。 そううまくはいかないものです。本当に必要だったものかもしれないけども、何か別のさらに重要なものが必要になることが判明するかもしれません。もしくは自分の弱点に気づいたのかもしれません。

6. Take

ここで主人公は目的を達成します。金を手に入れ食事にありつけたり、恋人と会えるかもしれません。

7. Return

主人公は日常を取り戻し、あるべき場所、あるべき姿へと帰路に着きます。

8. Change

様々な変化があります。主人公が変わる場合もあれば、周りの世界が変わることもあります。映画や長編作品の場合であれば両方でしょう。その変化によって世界は良い方向に変わったけども、主人公は最悪の方向に変わることもあります。主人公が何らかの代償を払ったことによって痛みを伴う変化を強いられる場合もあります。でもそれが良い物語を作る肝になります。

ストーリーサークルを利用した一番シンプルな物語分析

浦島太郎(You)は、いじめられている亀を助けた(Need)。助けたお礼として亀と一緒に龍宮城に行くことになりました(Go)。海の中を進み(Search)、龍宮城を発見する(Find)。龍宮城でどんちゃん騒ぎをし、お土産として玉手箱を貰い(Take)地上に戻る(Return)。玉手箱を開けてしまった浦島太郎はおじいさんの姿になる(Change)。

鋼の錬金術師のストーリーサークル

このストーリーサークルを漫画、鋼の錬金術師で試してみました。分析してみたところ、ハガレンは10年くらいにわたる漫画作品なので同じ箇所を繰り返しつつも、ストーリーサークルの法則に当てはめることが出来ました。多少強引に押し込めたフシもありますが、概ねストーリーサークルの構造通りではないでしょうか。

注意
これ以降、鋼の錬金術師のネタバレあり

1. You

エルリック兄弟は最愛の母を病気で失う。亡き母と再会したい一心で人体錬成を行い、エドは手足の一部を失い。アルは肉体全てを失い魂だけが残った。

2. Need

元の身体に戻るため、さらなる錬金術の知識と賢者の石が必要になる。

3. Go

イズミ・カーティスの弟子になる。そして国家錬金術師の資格を取る、軍の狗としての仕事をしながら賢者の石を探す旅に出る

4. Search

アメストリス東方で見つけたものが偽物の賢者の石だったり、スカーに襲われたり、賢者の石を求める旅は紆余曲折を経る

5. Find

Dr.マルコーの助言により賢者の石についての情報を知ることが出来た。セントラルへ向かう。

6. Take

賢者の石の原料が生きた人間だという真実を知る。だが真実の奥にさらなる真実があることに気づく。兄弟が知らないところでヒューズ中佐を失う。


4′. Search

第五研究所での戦いの後、 兄弟は ひとまず目的を、強くなること、とし師匠イズミ・カーティスがいる南へ向かう。

5′. Find

戦いの中でホムンクルス、人間のキメラ、シンの錬丹術などの存在を知る。 ホムンクルスとの戦いが激化する。「おとうさま」の存在を知り、敵の強大さを痛感する

6′. Take

エドは母親の墓を掘り返し過去のトラウマと戦うリスクを負いつつ、エルリック兄弟が錬成したものは母親ではないこと、真理の扉の向こうにはアルの肉体があること、肉体を真理の扉から引っ張り出せるかもしれない事実を掴む


4”. Search

エドとアルは賢者の石を用いることから目的を変え、医療方面に特化したシンの錬丹術に活路を見出そうとし、北に向かう。

5”. Find

ホムンクルスが国土錬成陣を完成させ、アメストリス国民全員を賢者の石にしようとしていることを知る

6”. Take

ホーエンハイムが人間の形をした賢者の石であることが明らかになり、さらにスカーの兄の研究による逆転の錬成陣の手がかりを掴んだ


7. Return

エルリック兄弟、そしてホーエンハイムと仲間達はそれぞれの場所でホムンクルス打倒の為の準備を行う。そして「約束の日」、ホムンクルスと対決し野望を打ち砕くことが出来た

8. Change

アルは元の身体を取り戻したものの、エドは錬金術を失う。そして2人は、今までに助けられなかった人達やお世話になった人達のことを思いつつ、 錬金術の「等価交換の法則」に代わる新たな法則を見つけ、それを実践するべく再び旅に出る

さいごに

今回は10年近くに渡って連載された漫画を分析しました。面白いのが、Searchのステージを繰り返すごとに目的が変わっていく、ということが分かりました。

このストーリーサークル通りに物語を作ったら必ず面白い作品が作れるというわけではないでしょうが、こういった型を知っておいて損はないでしょう。

実際に物語を作る場合、厳密に8つ全てのステージを含める必要はないですし、必ずしも順番通りに描かなければならない、というわけでもないそうです。説明によれば短い古典であっても、映画であっても、面白い物語というものはストーリーサークルの構造を当てはめることが出来るそうです。

かっちりと各ステージを分けるのではなく、緩やかにグラデーションを持って移行していくイメージで柔軟に捉えると良いと思います。

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