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Blenderをメインツールにしているスタジオ

Icon_Blender_studio

Blenderをメインツールにしている海外のスタジオを紹介します。自分が知っている限りの会社をピックアップしています。

Tangent Animation(カナダ)


いくつものハリウッドの映画スタジオで経験を積んできたKen Zorniak CEOが率いるカナダ、トロントにあるタンジェントアニメーション。2018年にNetflixで配信されたオリジナルアニメNext Genが話題になっていました。このスタジオではメインツールとしてBlenderを採用しており、NextGenでも9割以上のシーンでBlenderが使われています。ハリウッドで活躍しているアーティスト達が関わっているとのことでクオリティの高いビジュアルになっていて驚きました。ちなみに昔はMayaをメインツールとして採用していたそうです。

昨年のBlenderConference2018にはプロデューサーでCGスーパーバイザーのJeff Bellが登壇し技術的なプレゼンテーションを行っていました。Next Genの成功によって、Blenderでもピクサーやドリームワークスにも匹敵するようなビジュアルの作品が作れるんだということを提示し、多くのユーザーに勇気や奮起をもたらしていると感じています。Blender自体のポテンシャルが高いことは重々承知でしたが、このソフトウェアを使用した商業作品としての成功はこれまでには無かったと思います。NextGenがBlender界隈だけではなく、アニメーション業界のブレイクスルーになるのではないでしょうか。

ちなみにシニアライティングアーティストのJustin Goranによれば使用されたBlenderは2.78をベースに社内開発したバージョンを使用しているとのこと。モーションブラーを表現するのに苦労したそうです。Blenderのコンポジターは重いですからね。

このスタジオでは2016年にOzzyというアニメーションも制作しています。こちらのアニメーションでもBlenderが使われ、アセット作り、レイアウト、アニメーション、レンダリング、最初から最後まで100%Blenderで制作されました。 Maya時代に構築したアセットマネジメントのようなシステムもこの頃にBlenderに置き換えていった模様。

JeffBellはBCON2016でもKen Zorniak と共にプレゼンテーションを行っています。Mayaユーザーのアニメーターに対してはBlenderの使い方をトレーニングするなどしてアニメーションを制作していったようですね。GreasePencilを利用してエフェクトの制作を行っているアーティストもいた、というような裏話もしていました。NextGenがヒットしたのはこういった過去からの技術の積み重ねがあったんですね。

参考 目指したのは「日本のセルアニメ」的表現 ─ Netflix『ネクスト ロボ』VFX手がけた日本人アーティストに聞く愛とこだわりthe RIVER

Black Plama Studio(アメリカ)

 

主に5人のアメリカ人を中心に活動しているブラックプラズマスタジオ。Youtubeをベースに活動をしています。このスタジオの成り立ちは2008年にHALOのマシニマ(※1)を制作しYoutubeに投稿するところから始まりました。

マシニマとは
(※1)マシニマ、machinimaとはmachineとcinemaを組み合わせた言葉で、ゲーム内でストーリー性のある映像制作を行うこと。日本でもゲーム実況ではなくストーリー性のあるGTAの物語や、スカイリム劇場といったジャンルがある。これらもマシニマに含まれる。

彼らが制作するHALOの物語は多くの視聴者を惹き付け、順調にYoutubeチャンネルは拡大していきました。しかし数年もすればチャンネルの人気の指標である再生回数やチャンネル登録者数の伸びは鈍化していくことになります。彼らはゲーム内の機能に依存せざるをえなかったマシニマを卒業し新たなプラットフォームに移る必要に迫られました。そして2015年にBPSの中心人物であるArbiterとそのチームはマインクラフトの物語を制作していくことを決断します。

このマインクラフトの物語を始めたことによりチャンネルの人気が加速し、チャンネル開設10年目である2018年にはチャンネル登録者数200万人を超えるほどの存在になっています。このマインクラフトムービー制作のメインツールとしてBlenderが採用されているのです。この成功のおかげで現在の彼らはフルタイムの仕事としてマインクラフトのムービー制作を行っています。

BPSではメインツールがBlender、動画編集にVegasPro、エフェクト制作にAfterEffectsを使用しています。Youtubeからの広告収入だけではなくグッズを売ったり、ファンからPatreonの寄付を受け付け、ムービーにファンのアバターを登場させるというような双方向のやり取りを行っている人気のスタジオです。

Barnstorm VFX(アメリカ)


高い城の男(The man in the high castle)などでVFXを担当したアメリカ、ロサンゼルスにある会社です。この会社でもVFXの制作にBlenderが採用されています。

AndrewPriceのYoutubeチャンネル、BlenderGuruのインタビューにおいてスタジオでBlenderが採用された理由をCory Jamieson と Lawson Demingが語っていました。

Barnstorm VFXで何人かのフリーランサーを雇うことになり、プロとして活躍しているモデラー、テクスチャーアーティスト、レンダーアーティストなどを雇いました。彼らは全員Mayaユーザーです。しかしそれぞれのアーティストに話を聞いてみると

モデラー「Mayaユーザーです。でも仕事ではカスタムしたMayaを使っていました」

テクスチャアーティスト「Mayaユーザーです。でも実際の仕事ではMayaは使わずMariを使っていました」

レンダーアーティスト「Mayaユーザーです。でも私はMental-rayは使いません。V-rayを使っていました。」

このように同じMayaユーザーでもそれぞれ違うバージョンでカスタムしたMaya、違うソフトウェアを使用していたので同じパイプラインで仕事をするのが難しいと感じたそうです。その時にBlenderの存在を知り導入を決めました。詳しくは下記の動画を御覧ください。

Barnstorm VFXのVFX班はBlenderも使用されていますが、もちろんAfterEffectsやNukeも使用されています。3D班では主にBlenderが採用され他にもHoudiniや3dsMaxも使っている模様。

日本でもBlenderをメインツールにしたアニメーションスタジオは生まれるか

海外では既にBlenderをメインツールにアニメーションやVFXを制作しているスタジオは他にいくつも存在しています。上記に書いたスタジオ以外にもインドのAum Animation Studioなどがあります。

これ以降の話はボクの夢というか単なる妄想や願望なのですが、Blenderをメインツールとしたアニメーションスタジオが日本にも出てくれたら面白いのになあと考えています(知らないだけで既にある?)。しかし保守的な既存の会社や大企業がメインツールとしてBlenderを導入することは難しいとは思います。これまでに築いてきた大規模なパイプラインを崩したくない、オープンソースソフトウェアのようなよく分からんものを使うくらいならこれまでに使い慣れたMayaや3dsMaxを使う、というような言い分には理解が出来ます(ちなみに日本人は10年後もレガシーなWindowsXP、FAX、手書き履歴書を使っているだろう、という悲観的な予測をボクはしています)

もしBlenderをメインツールとして使う会社が現れるとしたらスタートアップのような若い会社でしょう。やはり学生やアマチュアの頃に使っていたソフトウェアをプロになっても使いたい、と思うのが人情じゃないでしょうか。新しい価値観をもった若い世代から生まれる気がします。

現状は3DCG業界に入るということはBlenderを使わないということとほぼ同義です。つまり違うDCCツールを覚えてそれをメインで使うということです。もちろん既存のソフトウェアを覚えることは重要だと理解はしています。


ボクは神風動画に憧れがあります。 神風動画ではLightwaveがメインツールですよね。しかしLightwaveはマイナーで使っている人は少ないと思います。しかしそれでも独自性があるクオリティの高い、尖ったアニメーションを神風動画は作り続けています。Mayaや3dsMaxじゃなくても社内で独自のパイプラインを構築してアニメーションスタジオを運営していくことは可能なのです。

LightwaveにできてBlenderに出来ないわけがない。Lightwaveは手描き風のアニメーションに向いているらしいですが、そのあたりはBlenderも負けていない、いやむしろGreasePencilによる2D作画が出来る分Blenderの方がアニメ制作に向いているんじゃないでしょうか。少なくとも1つのソフトウェア単機で3Dアニメーションと2D作画を組み合わせたアニメーション作りというのを構想しているボクにとっては向いているソフトだと思っています。

3Dアニメーターと2Dアニメーターが同じBlenderというソフトを利用して仕事をすることも可能です。別にBlender縛りをする必要もないのですが、やろうと思えばそういうワークフローも考えられます。アーティストとしてはソフトウェアを何個も何個も使用してソフトウェア間を行ったり来たりしたり、新たなソフトウェアの使い方を覚えるコストを払うことよりも、実際の制作に集中したいのでBlenderだけで映像制作の多くの部分が完結出来るならそれに越したことはないと考えています。ワークフローはシンプルであるほど良い。間に色んなソフトウェア、複雑なワークフローがあると修正作業が大変になるからです。

それにBlenderをはじめとするオープンソースソフトウェアを導入すればオートデスク税やアドビ税を支払う分をアーティスト、労働者に還元出来ます。経済的視点から見ても有利です。

さいごに

Blenderコミュニティには、Blenderを使用して稼いだお金を開発資金として寄付をするという善意で出来た良いエコシステムがあります。このソフトウェアは大成功しているオープンソースプロジェクトの1つでしょう。

Blenderをメインツールにしたアニメーションスタジオ、神風動画みたいな尖ったアニメーションスタジオ。もしそういう会社があったらワクワクしませんか?ボクはそういう会社で働いてみたい。なんなら、そういう会社が無いなら自分で作ってみたい。な~んてそういう妄想をしています。

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